2006/07/31

■7月30日(日)小倉 小倉記念(GIII)

サマー2000シリーズの第3弾となった第42回小倉記念が30日小倉競馬場で行われた。参戦したメイショウカイドウの同一重賞3連覇という記録にも注目が集まったが、今年の南国小倉のチャンプは重賞初制覇となった4番人気のスウィフトカレント。昨年メイショウカイドウが樹立したコースレコード1分58秒0をコンマ2秒上回る1分57秒8というレコードタイムでの決着であった。

レースを制したスウィフトカレントだが、6々月半の休み明けにもかかわらず直線に向くと内ラチ沿いを抜群の手ごたえで突き抜けてきた。休養前の日経新春杯(GII)でもタイム差なしの2着という実績があったことからも、55キロという恵量ハンデは大きなアドバンテージになったものと考えられる。使っていくごとにテンションが高まる傾向にある馬なのだが、それを証明するかのように休養明けで向かえたレースはこれで3戦3勝。血統的にも安田記念を制しているアサクサデンエンが半兄にあたる良血馬でもあり、晩成型の血統背景からして今後の活躍によりいっそうの期待がかかる。

2着に入ったヴィータローザも小回りを意識したロングスパートが功を奏したということと、GIIを含む重賞3勝の実績はここでは抜けた存在であったことを証明してみせた。尚、6着に敗れたメイショウカイドウの敗因だが、レコード決着のレースにてハンデ59.5キロを背負うというのはあまりにも負担が大きかった。59キロを背負った前走七夕賞では勝利を収めているが、今年2月に行われた小倉大賞典では59キロを背負い、7歳馬メジロマイヤーの逃げ切りを許している経緯もあり斤量面が大きなウェートを占めた敗戦といえる。それに中間の調整においても、坂路コース閉鎖の影響でプールと芝コースでの調整で仕上げるしかなかった陣営の誤算が少なからずレースに影響を及ぼしたものと考えられる。いかに同一重賞3連覇が難しいものなのか。最近では、シーイズトウショウが函館スプリントSで同一重賞3連覇の偉業に挑んだが惜しくも2着に敗れている。ちなみにJRAのハンデ重賞3連覇の偉業を成し遂げた馬は未だ一頭すら誕生していない。

マイペースで逃げていたように思われた2番人気のコンゴウリキシオーであったが、人気逃げ馬の宿命ともいえる厳しいマークにあい、後続との距離感を保てずに5着に敗れた。1000mの通過が59秒0、後半1000mは58秒8という厳しい流れを演出しながら、先行馬の中では唯一掲示板を確保しているあたりにこの馬の潜在能力の高さが十分に伺えたレース内容。

本格的な夏競馬が進む中、このレースで1,2着した馬はともに3々月以上の休み明けの馬であった。春シーズンから夏場にかけて使い込んでいる馬達の疲労はそろそろピークを迎えつつある。盛夏の8月、夏競馬の盛り上がりとはうらはらに、サラブレッドには厳しい季節が続く。

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2006/07/31

■7月30日(日)アスコット KジョージVI世&クイーンエリザベスDS(GI)

日本時間の30日未明、イギリスのアスコット競馬場(ロンドンから西へ50キロ)にて、上半期欧州競馬の総決算でもある英国最高峰のGI第56回キングジョージVI世&クイーンエリザベスDSが行われた。日本からは3月のドバイシーマクラシック(G1)を制して、世界的ホースの仲間入りを果たしたハーツクライ(栗東:橋口厩舎)が参戦し、女王陛下が見守る近代競馬発祥の地での日本調教馬のベストパフォーマンスに多くの注目が集まった。

レースが行われたアスコット競馬場はスタンド改修の工事により昨年の開催はなかったが、1年8々月に及んだ改修後のアスコット競馬場はモダンさの中にも刻まれた歴史を感じさせてくれるような欧州NO1の美しい外観を持つスタンドへと生まれ変わった。先日発表されたワールドリーディングホースとは、世界各国のハンデキャッパーが合議制で世界のサラブレッドを格付けするもので、国際競馬統括連盟(IFHA)によって定期的に発表されるものだが、日本のハーツクライは同じくこのレースに出走したエレクトロキューショ二スト(USA)と並ぶ評価を受けていた。

そんな今年のキングジョージVI世&エリザベスDSを制したのは、英ブックメーカーでも1番人気に支持され、ワールドリーディングホースでも1位評価を受けていた昨年の凱旋賞馬ハリケーンラン。好スタートから好位を進み、最後の直線では早めに仕掛けたエレクトロキューショ二スト、ハーツクライの内に入り窮屈な競馬となったが、持ち味である力強い持続性のある末脚が2頭を完全に上回った今回の勝利。日本の競馬場には類を見ないおむすび型コースの頂点(スウィンリー・ボトム)からゴールまで1マイルに及び延々と続く上り坂を見方につけての勝利であった。それは欧州馬の底力を証明する典型的な勝ち方ではなかったか。

尚、直線で一旦は先頭に立ったハーツクライであったが、そのゴールは限りなく長く厳しいものとなり3着に敗れた。直線の叩き合いでは2着になったエレクトロキューショ二ストと馬体が接触するほどの熾烈な攻防であった。それでも欧州のトップホースを相手に正攻法による真っ向勝負を挑んだハーツクライ(ルメール)の果敢なトライは、勝ち馬に勝るとも劣らない称賛に値する走りであった。レース後の橋口調教師の談話として「体調はグッドだったけど、ベストではなかった」というように、3月のドバイ遠征後から課題となっていた体調面の不安が少なからずレースに影響を及ぼしたものとも考えられる。この秋はジャパンカップ(11月26日 東京 芝2400m GI)から有馬記念(12月24日 中山 芝2500m)というローテーションがあきらかになっているが、帰国後は体調面のケアに専念していただきたい。

今回ハーツクライが残した欧州での蹄跡は確実に次代へも引き継がれていく。この敗戦に「惜敗」とか「健闘」という言葉は相応しくない。要するに勝つか負けるかの勝負で敗れたわけだ。しかしながらこの敗戦には「次」がある。言うまでもない盟友ディープインパクトが挑む凱旋賞(10月1日 ロンシャン 芝2400m GI)だ。敗れはしたが、欧州のトップホース達と勝ち負けの勝負を演じたハーツクライのトライは日本競馬に計り知れない財産を残したことだけは確かである。登り続けてきた聖地の頂がはっきりと今視界に入ってきた。

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