2006/10/23

■10月22日(日)京都 菊花賞(GI)

昨年のディープインパクトに続き、メイショウサムソンによる2年連続での3冠達成の偉業のかかった第67回菊花賞が、22日良馬場の京都競馬場芝コースで行われた。2年連続での3冠馬の誕生は、1983年のミスターシービー、そして1984年のシンボリルドルフと続いた1例のみという快挙で、メイショウサムソンには大いに注目が集まった。メイショウサムソンは春のクラシック2冠を僅差で制し、秋緒戦となった前走の神戸新聞杯(2着)でも持ち味であるレースセンスは十分に見せており、3冠のタイトルがかかった菊花賞に向けて磐石の構えでレースに挑んだ。

しかしながら、そんなメイショウサムソンの夢は1頭の伏兵によって脆くも打ち砕かれた。レースを制したのは単勝8番人気の伏兵ソングオブウインドであった。前走の神戸新聞杯では4角先頭の競馬を見せながらも、逆に標的とされメイショウサムソン、ドリームパスポートに差し込まれたが、一転この菊花賞では後方からの末脚勝負に打って出るという奇襲劇が見事に功を奏した勝利であった。その決め脚は上がり3ハロン33秒5というメンバー屈指のタイムであった。

レースは予想されたようにアドマイヤメインが先手を奪った。マイペースのようにも見えたが、後続を突き放した逃げ脚は3000mのレースとしては驚異的なラップを刻んだ。1000mの通過が58秒7。2ハロン目から11秒台の快速ラップが並ぶという異例ともいえるハイペースであったが、1200mを過ぎてからは一気に12秒台後半へとスローダウンするメリハリのあるレース展開。動くに動けなかったメイショウサムソンであったが、勝負どころの3〜4コーナーで仕掛け、4コーナーでは2番手から先頭を走るアドマイヤメインを追った。満を持してメイショウサムソンを徹底マークしていたドリームパスポートも仕掛け、1番外からソングオブウインドがワンテンポ遅れて追い出しにかかった。

直線半ばで脚色に勝るドリームパスポートはメイショウサムソンを完全に捕らえ、アドマイヤメインをも射程に入れたのだが、その外から漆黒の馬体がドリームパスポートに肉薄していた。ソングオブウインドである。その脚はドリームパスポートの決め手を完全に上回る強烈なものであり、凄まじい勢いのままゴール板を先頭で駆け抜けた。勝ちタイムは1998年にセイウンスカイがマークした菊花賞レコードをコンマ5秒更新する3分2秒7という脅威的な勝ちタイムとなった。

残念ながらメイショウサムソンの3冠はならなかった。しかしながら、決して悲観する敗戦ではなかった。敗因はレース展開に尽きると判断出来るからである。アドマイヤメインの快速ラップに幻惑し、動き出しのタイミングが難しかったのは確かであろう。そんな中、前を意識しながら直後にもマーカー(ドリームパスポート)の影も感じなければならない非常に難しいレース展開であった。勝ったソングオブウインドは、そんな人気馬同士の駆け引きが呼び込んだダークホース(勝ち馬)であったともいえる。

奇しくも人気馬に跨る兄(武豊)が刻んだ快速ラップが、伏兵に跨った弟(武幸)の台頭を呼び込んだ。牽制やマークへの過剰意識というものは、時に他への意識を軽減させてしまう。第67回菊花賞。それは、騎手同士の駆け引きが明暗を分けたクラシック最終章であった。

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2006/10/23

■10月21日(土)東京 富士ステークス(GIII)

今年で8回目を向かえたマイルの重賞富士ステークス(GIII)が、21日良馬場の東京競馬場芝コースで行われた。当初は約一ヵ月後に控えているマイルチャンピオンシップ(11月19日 京都 芝1600m GI)を狙う馬達のステップレースとなっていたが、近年では実績のあるマイラー達は天皇賞秋へと挑むケースが多くなってきており、比較的短距離志向の馬達の多いレースとなってきている。そんな今年のレースを制したのは、単勝16番人気という低評価だった伏兵キネティクス。

レースは前半の3ハロンが34秒9、5ハロンでも58秒7というマイル重賞としてはやや落ち着いた流れの中で淡々と進んだ。好位につけていたキネティクスは直線に向くと、抜群の手ごたえで前を行くタニノマティーニ、インセンティブガイらを早めに交わし堂々と先頭へと踊り出た。残り100mではエアシェイディ(2着)が差し脚を伸ばしてきたが、後方から脚を使っているため、キネティクスには半馬身差及ばなかった。レースの上がり3ハロンの数字が34秒1という流れの中で、勝ったキネティクス自身が33秒8という脚でまとめているのだから、後続の出る幕はなかったレースといえよう。

尚、3着にはエアシェイディと同じような位置取りから追いすがったスズカフェニックスが、エアシェイディと並ぶ33秒3というメンバー最速の上がりで入線した。奇しくも16番人気の伏兵がレースを制し、1、2番人気に支持されていた馬達が2、3着を分け合うという歯がゆいレースとなってしまった。7歳にして重賞初制覇となったキネティクスだが、嬉しいことに37戦目にしてやっと手に入れた重賞のタイトル。そもそも東京芝1600mを得意にしていた馬で、昨年の同レース3着や、同じく東京新聞杯でハットトリックとコンマ1秒差の接戦歴などがあったことから、東京芝1600mという舞台が後押ししての今回の勝利ではなかったか。

マイルチャンピオンシップか?それとも新たなる別路線に新境地を求めていくのか?この富士ステークスの結果を受けて、各陣営の方向性が慌しくなっていくものと考えられる。いずれにせよ、スターホース不在のマイル戦線にベストオブマイラーであり、キングオブマイラーとも呼べるスターホースの出現に期待したい。

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