2006/11/06

■11月5日(日)東京 アルゼンチン共和国杯(GII)

古馬長距離路線における伝統のハンデ戦であり、今や秋の東京開催における名物ハンデ重賞となっている第44回アルゼンチン共和国杯が、5日良馬場の東京競馬場芝コースで行われた。例年、京都大賞典組の活躍と軽ハンデ馬の台頭が目立つレース。そんな今年のレースを制したのは、やはり京都大賞典をステップにここへと挑んできた単勝1番人気のトウショウナイトであった。

最重量馬と最軽量馬との間に8キロというハンデ差がある難解なハンデ戦であったが、勝ったトウショウナイトはアイポッパー(2番人気:2着)に次ぐ、57、5キロを背負っての勝利であった。レースは内枠を利してアドバンテージが隊列を形成し、前半は速めのペースで推移したが、中盤を過ぎると府中の長距離戦独特のペースへと変貌を遂げ、12秒台半ばのラップを刻むことになる。当初縦長の隊列も、3コーナーを過ぎ、勝負どころの4コーナー手前あたりでは一気に団子状態となった。

そんな中、トウショウナイトは馬場のいい真ん中から進出を開始。直線に入ると二の脚を使って粘り込みをはかるアドバンテージに代わって、トウショウナイトが馬場の真ん中から早めに堂々と先頭に立つ。後続からは一瞬の脚にかけるアイポッパーが追い出しを我慢しながらも、トウショウナイトに一完歩づつ詰め寄ってくる。10年という騎手生活の中で未だ手にしたことのない「重賞タイトル」というプレッシャーが武士沢騎手を襲い始める。追い出しを開始したアイポッパーを横目に見ながらも臆することなく愛馬を激励し続けた武士沢騎手。その渾身の騎乗により、勝負の女神は「クビ差」ながら、トウショウナイトと武士沢騎手に微笑んだ。

人馬が共に向かえた重賞初制覇という瞬間である。軽ハンデ馬の台頭が目立つ近年のハンデ重賞ではあるが、実績馬(重いハンデ)同士による壮絶な叩き合いというのも実に心地いいレースといえる。古馬2戦級と称されていたトウショウナイト、アイポッパーあたりが復活の狼煙をあげたことにより、古馬中長距離路線に厚みが増したことは言うまでもない。古馬ならではの「強さと逞しさ」というものを、あらためて認識させられた今回のレースではなかったか。まさに重みを感じるトウショウナイトの重賞初制覇であった。

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2006/11/06

■11月5日(日)京都 ファンタジーS(GIII)

近年ではスイープトウショウやラインクラフトが先頭で駆け抜けたファンタジーS。そして、阪神ジュべナイルフィリーズ(12月3日 阪神 芝1600m GI)の前哨戦の意味合いを持つことから、大変注目度の高い2歳牝馬重賞でもある。今年は関東から4頭の参戦を含め、14頭の乙女達により華麗な競演が繰り広げられた。

そんな今年のレースを制したのは、単勝3番人気に支持されていたアストンマーチャン。勝ちタイムは1分20秒3と、レコードをコンマ9秒更新する驚異的な走破時計となった。2着のイクスキューズをコンマ8秒(5馬身)突き放す圧勝劇であった。小倉2歳Sに次ぐ重賞連覇で、これで2歳牝馬戦線の主役の座へと躍り出たといっていい。

勝ったアストンマーチャンだが、好スタートを見せたものの、やや口を割りながら道中は5〜6番手に落ち着いた。ハイペースにならないと判断してか、鞍上の武豊は手綱をゆるめアストンマーチャンを前々へと促していく。当初は抑える競馬を試みようとしていた武豊であったが、馬との呼吸を察知し一瞬の判断のもとに馬の行く気を優先させた。4コーナー手前では早くもイクスキューズ(2着)を射程圏にとらえて馬体を併せにいくと、アストンマーチャンの桁違いな走りが炸裂した。武豊が1発だけムチを入れると、振動すら感じさせない低重心のフットワークから抜群の加速力と安定性を見せつけ、ラストは流す余裕すら見せ他馬を圧倒した。気は早いが来年のクラシックを十分に意識させてくれる逸材発掘のレースとなった。

アストンマーチャンの次走は、改装された阪神競馬場で行われる阪神ジュベナイルフィリーズ(12月3日 阪神 芝1600m GI)。スピードの違いで勝ち上がってきたアストンマーチャン陣営としては、改装後の開幕週に行われることから、新装阪神の芝コンディションが非常に気に掛かるところでもある。いずれにしても、今日見せてくれた圧倒的なスピードを、再度マイルでも見てみたいと願うのは筆者だけではないだろう。才能あるサラブレッドの1つの挑戦というものが、今日の勝利を境に静かに始まったといっていい。

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